監修 名古屋大学医学部附属病院 腎臓内科学/小早川整形リウマチクリニック 永井 薫 先生
在宅自己注射による治療は通院回数が少なくてすむなど、通院に伴う負担が軽減できるというメリットがありますが、薬剤の管理や注射は患者さん自身が行わなければなりません。注射を忘れたり、同じ箇所へ繰り返し注射したりしないよう、注射した日や注射の部位を記録しておくことが大切です。オートインジェクターにおいて、皮下脂肪の薄い部位への注射により、注射針先端が骨などの固い組織に接触して針先の曲がりが生じ、針が抜けにくくなる事例が報告されています。関節や骨などの固い組織から離れている部位に投与するよう、投与部位についても注意しましょう。
また、毎日の体温や、咳や痰、鼻水など感染症が疑われる風邪のような症状の有無なども記録しておきましょう。毎日体温を測るのは面倒だと思われるかもしれませんが、同じ37℃でも平熱が高い人と低い人とでは体調が異なります。普段の自分の体調を知っておくことは関節リウマチの治療を継続する上でとても重要な情報となります。治療日記を活用し、受診時には持参するようにしましょう。
※治療日記をお持ちでない方はかかりつけの医療機関に相談してください。
「主治医も看護師さんも忙しそう」と、医療従事者に相談するのをためらってしまう患者さんもいますが、治療についてわからないことや不安なことは伝えることが大切です。その際、数字を用いて具体的に話すと、医師にもスムーズに状況を伝えることができます。
例えば「微熱があるが、予定通り注射しても良いですか」というお電話での問い合わせに対して、「熱はいつからですか?」とお聞きすると、「だいぶ前から」「ちょっと前から」などの表現で返答される方が多いのですが、できれば「平熱は36.5℃だが、○月×日から37℃が続いている」などと具体的な数字で伝えると症状を理解してもらいやすいです。
加えて、「微熱が続いているけれど、注射しても大丈夫かどうかが知りたい」「微熱が続いているので、先生に診察してもらいたい」など、希望をわかりやすく伝えることも必要です。
このような工夫をすることで、医療従事者と上手にコミュニケーションができるようになります。
繰り返しになりますが自己注射について、わからなくなったり、不安を感じたりした場合には遠慮せず、気軽に、医師または看護師に相談するようにしましょう。